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採用ブランディングとは?会社の「らしさ」の伝え方
採用ブランディングが大事だと聞くけれど、何から始めればよいのか分からない。採用サイトをきれいにすることなのか、それとも別のことなのか。採用ブランディングの意味と、会社のらしさを言葉にして、合う人に伝わるように届ける進め方を整理します。

採用ブランディングとは、「この会社で働くとはどういうことか」を、候補者に一貫したイメージとして持ってもらうための取り組みです。給与や制度といった条件だけでなく、どんな考え方を大事にしているか、どんな人と、どんなふうに働くのかといった会社の「らしさ」を、言葉と行動の両方で伝えていきます。
ブランディングと聞くと、ロゴやデザイン、かっこいい採用サイトを思い浮かべるかもしれません。けれど、採用ブランディングの中心にあるのは見た目ではなく、伝える中身です。この記事では、採用ブランディングの意味と、採用広報との違い、らしさを言葉にする手順、伝えるときの判断の基準、よくある失敗を紹介します。
採用ブランディングと採用広報の違い
よく似た言葉に、採用広報があります。2つは別のものではなく、役割が違うと考えると整理しやすくなります。
- 採用ブランディング:会社のらしさを決め、どんなイメージを持ってもらいたいかを定める。何を伝えるかの土台
- 採用広報:決めたらしさを、記事やSNS、説明会などで実際に発信する。どう届けるかの活動
土台が決まっていないまま発信を始めると、記事ごとに言っていることが少しずつ違い、候補者の中で会社の姿がまとまりません。反対に、土台だけ決めて発信しなければ、誰にも伝わりません。採用広報の始め方は採用広報とは?始めるときに最初に決めることで紹介しています。
なぜ「らしさ」を伝える必要があるのか
条件だけで比べられると、規模の大きな会社や知名度のある会社が有利になります。小さな会社が選ばれるには、条件以外の理由が必要です。その理由になるのが、会社のらしさです。
もう一つの理由は、入社してからのずれを減らすことです。候補者が入社前に思い描いていた姿と、実際の働き方が大きく違うと、早いうちに離れてしまうことがあります。らしさを正直に伝えておけば、合う人が集まり、合わない人は応募の前に気づくことができます。採用ブランディングの目的は、応募の数を増やすことよりも、合う人に選ばれることにあります。
らしさを言葉にする手順
1. 材料を集める
らしさは、経営陣の頭の中だけにあるものではありません。実際に働いている人の言葉の中にあります。まずは、立場や入社時期の違う社員数人に、次のような問いで話を聞きます。
- 入社を決めた理由は何だったか。入ってみて、その印象は変わったか
- この会社らしいと感じた出来事は何か
- 前の職場と比べて、いちばん違うところはどこか
- 友人にこの会社を勧めるとしたら、どんな人に勧めるか。勧めないのはどんな人か
- 大変だと感じるのは、どんなときか
MVVがある会社は、それも大事な材料です。MVVの考え方はMVVとは?ミッション・ビジョン・バリューの違いと役割で紹介しています。
2. 共通点をまとめる
集めた言葉を並べ、何人もが同じようなことを言っている点を探します。たとえば、複数の人が「任される範囲が広い」「決めるのが早い」と話していれば、それは会社のらしさの候補です。一人だけが言っていることより、何人もが別の言葉で同じことを言っていることのほうが、実態に近いと考えます。
3. 良い面と大変な面をセットにする
らしさには、ほとんどの場合、裏側があります。「任される範囲が広い」は、裏を返せば「手取り足取り教えてもらえる環境ではない」ということでもあります。らしさを言葉にするときは、良い面と大変な面をセットで書き出します。
- 任される範囲が広い / 自分で動かないと、仕事が進まない
- 決めるのが早い / 決まったことが途中で変わることもある
- 少人数で距離が近い / 役割の境目があいまいで、何でもやる場面がある
この大変な面こそ、合わない人に伝わるための大事な情報です。
4. 誰に届けたいかと突き合わせる
最後に、まとめたらしさを、求める人物像と突き合わせます。そのらしさを魅力と感じるのはどんな人で、負担に感じるのはどんな人か。求める人物像の言葉にし方は採用ペルソナの作り方。求める人物像を言葉にするで紹介しています。
伝えるときの判断の基準
らしさが決まったら、それを伝える場面ごとに、次の基準で確かめます。
- 事実で示せるか:「風通しがよい」と書く代わりに、どんな場面で、誰が、何を言えたのかを示す
- どこでも同じことを言っているか:求人票、採用サイト、面接、社員の話で、言っていることが食い違っていないか
- 合わない人にも伝わるか:大変な面を隠していないか。読んだ人が「自分には合わないかも」と判断できる材料があるか
- 入社後の実態と合っているか:入社して数か月の人が読んで、違和感がないか
迷ったときは、最後の基準を優先します。入社した人が「聞いていた話と違う」と感じる発信は、短い目で見て応募が増えても、長い目で見ると会社の信頼を損ないます。
まとめておくと使いやすい「らしさのシート」
言葉にしたらしさは、一枚のシートにまとめておくと、発信する人や面接する人の間でそろえやすくなります。項目の例は次のとおりです。
- らしさ:一言で表した会社の特徴。3つ前後にしぼる
- 裏側:そのらしさにともなう大変な面
- 裏づけの出来事:らしさが表れた、実際にあった出来事
- 合う人:そのらしさを魅力と感じる人の特徴
- 合わない人:そのらしさを負担に感じそうな人の特徴
- 使わない言葉:実態と合わないので使わないと決めた言葉
使わない言葉を決めておくのは、発信する人が増えたときに、つい使いがちなきれいな言葉で全体の印象がぼやけるのを防ぐためです。シートは一度つくって終わりにせず、半年に一度など時期を決めて、いまの実態と合っているかを見直します。
伝える場所ごとの役割
らしさは、一つの場所で伝えきるものではありません。候補者が会社を知ってから入社するまでに触れる場所ごとに、役割を分けて考えます。
- 求人票:らしさを短く示し、合わない人が応募の前に気づけるようにする
- 採用サイトや記事:裏づけの出来事を、社員の言葉とともにくわしく伝える
- 面接:らしさを実際の仕事の例で話し、候補者がどう感じるかを確かめる
- 内定から入社まで:一緒に働く人と話す場をつくり、入社前の思い描いた姿と実態を近づける
どの場所でも同じらしさを、同じ裏づけで伝えることが、一貫したイメージにつながります。
場面の例:面接で伝える場合
たとえば、少人数のチームで、自分で考えて動ける人を探しているとします。面接で「裁量が大きい会社です」と伝えるだけでは、候補者によって受け取り方がばらばらです。
そこで、最近実際にあった仕事を一つ例に出し、「この仕事は、入社して数か月の人が、自分で進め方を決めて進めました。そのぶん、困ったときに誰かが先回りして教えてくれることはあまりありません」と、良い面と大変な面を両方話します。そのうえで「こういう働き方を、どう感じますか」と聞きます。候補者の反応から、合うかどうかを双方が確かめられます。
採用ブランディングは、採用サイトや記事だけでなく、面接官一人ひとりの話し方にも表れます。面接官の間で、伝えるらしさと、その例として話す出来事をそろえておくと、誰が面接しても同じ姿が伝わります。
よくある失敗
見た目から始めてしまう
採用サイトやパンフレットのデザインから始めると、伝える中身が後回しになります。見た目は中身が決まってから整えるもので、順番を逆にすると、きれいだけれど何も伝わらないものができあがります。
良いところだけを並べる
「アットホーム」「成長できる」「やりがいがある」といった良い言葉だけを並べると、どの会社も同じに見えてしまいます。大変な面も書くことで、かえって言葉に信頼が生まれます。
実態と違う姿を描く
こうありたいという理想を、いまの姿として伝えてしまうと、入社後のずれが大きくなります。理想を伝えたいときは「いまはまだこうだが、こう変えていこうとしている」と、現在地とあわせて伝えます。
担当者だけで決めてしまう
採用の担当者だけでらしさを決めると、現場の実感と離れやすくなります。経営陣と現場の社員を巻き込み、何人もの言葉から形にします。
らしさは、日々の働き方の中にある
採用ブランディングで伝えるらしさは、つくり出すものではなく、すでに会社の中にあるものを見つけて言葉にするものです。その土台にあるのは、日々の働き方の積み重ねである企業文化です。伝える言葉を磨くことと同じくらい、伝えている姿と実際の働き方を合わせ続けることが大切です。
おまかせPMは、社内に進める人がいないプロジェクトを、進める役割ごとお引き受けするサービスです。採用の進め方から相談したいときは、どこから手をつけるかの整理から、ご相談ください。
採用ブランディングの目的は、応募の数を増やすことよりも、合う人に選ばれることにあります。