PM NOTE
記事
プロンプトの書き方。AIに伝わる頼み方の基本
生成AIを使ってみたけれど、思ったような答えが返ってこない。何度も聞き直しているうちに、自分で書いたほうが早かったと感じる。そんなときは、頼み方を少し変えるだけで、答えの質が大きく変わります。AIに伝わる頼み方の基本と、仕事で使える型を整理します。

プロンプトとは、生成AIに対して出す指示や質問の文章のことです。同じAIを使っていても、頼み方しだいで返ってくる答えの質は大きく変わります。ただ、特別な書き方を覚える必要はありません。プロンプトの基本は、人に仕事を頼むときに伝えることと、ほとんど同じです。
この記事では、AIに伝わる頼み方の基本を4つの要素に分けて紹介します。そのうえで、よくある仕事ごとの頼み方の型、返ってきた答えの直し方、確かめるときの注意、よくあるつまずきを順番にまとめます。特定のサービスの機能は変わりやすいので、ここではどのAIでも使える考え方に絞ります。
なぜ頼み方で答えが変わるのか
生成AIは、渡された文章をもとに、もっともらしい続きを返します。渡された情報が少なければ、足りない部分を一般的な内容で埋めます。だから、短く「企画書を書いて」とだけ頼むと、どの会社にも当てはまる、当たり障りのない答えが返ってきます。
これは、新しく入った人に「企画書を書いておいて」とだけ頼むのと同じです。何のための企画書なのか、誰が読むのか、どれくらいの量なのかが分からなければ、相手は推測で書くしかありません。AIに頼むときも、人に頼むときに伝えることを、そのまま文章にして渡すのが基本です。
伝わる頼み方の4つの要素
1. 目的:何のために使うのか
最初に、その答えを何に使うのかを伝えます。「来週の部内会議で、新しい取り組みを提案するために使う」のように、使う場面まで書くと、AIは場面に合った答えを返しやすくなります。
2. 前提:知っておいてほしいこと
AIは、あなたの会社のことも、仕事の事情も知りません。答えを出すのに必要な事情を伝えます。
- 読む人は誰か。どれくらいその話題に詳しいか
- いまどんな状況で、何に困っているのか
- すでに決まっていること、変えられないこと
- 使ってほしくない言葉や、避けたい内容
前提を書くときは、社外に出せない情報や個人情報を入れないように気をつけます。何を入れてよいかは、会社のルールに沿って判断します(→ 生成AIを業務で使う。社内ルールと始め方)。
3. 形:どんな形で受け取りたいか
答えの形を指定します。箇条書きか文章か、何項目くらいか、何文字くらいか、見出しをつけるか。形を決めておくと、そのまま使える答えが返ってきやすくなり、直す手間が減ります。
4. 例:お手本を見せる
「こんな感じで」というお手本があれば、それを添えます。過去にうまくいった文章や、理想に近い書き方の例を見せると、言葉づかいや細かさをそろえやすくなります。言葉で説明しにくい「雰囲気」を伝えるには、例を見せるのがいちばんの近道です。
立場を伝えるのは、目線を決めたいときだけ
「あなたは経験のある人事担当者です」のように、AIに立場を伝える頼み方もよく紹介されます。これは、答えの目線をそろえたいときには役に立ちます。たとえば、同じ文章を「初めて読む新入社員の目線で」見直してもらうと、専門用語の多さに気づきやすくなります。
ただし、立場を伝えるだけで答えの中身が正しくなるわけではありません。目的や前提が抜けたまま立場だけ足しても、効き目はかぎられます。立場は、4つの要素がそろったうえで、目線を決めたいときに足すもの、と考えておきます。
頼み方を比べてみる
たとえば、社内向けのお知らせ文を頼む場合を比べてみます。
伝わりにくい頼み方
- 「在宅勤務のルール変更のお知らせを書いて」
伝わりやすい頼み方
- 目的:全社員に、来月から在宅勤務の申請のしかたが変わることを伝えたい
- 前提:読む人は全社員。これまでは上司にメールで申請していたが、来月からは勤怠のシステムで申請する。理由は、申請の記録をまとめて残すため。反発が出ないよう、責めるような言い方は避けたい
- 形:社内チャットに載せる文章。300字くらい。最初に変わる点を一文で書き、そのあとに理由と、いつから・何をすればよいかを箇条書きで
- 例:以前に出したお知らせの文章を添える
後者のほうが長くなりますが、返ってきた答えを直す手間はずっと少なくなります。頼む文章に1〜2分かけるほうが、結果として早く終わります。
よくある仕事ごとの頼み方の型
よく使う仕事は、頼み方を型にしておくと便利です。次のような型を、自分の仕事に合わせて書き換えて使います。
会議のメモをまとめる
- 「次の会議メモを、決まったこと・宿題(担当者と期限つき)・保留になったことの3つに分けて整理してください。メモにないことは書き足さないでください」
メールの下書きをつくる
- 「取引先の担当者に、納期を1週間延ばしたいとお願いするメールを書いてください。理由は〇〇です。おわびは丁寧に、ただし長くなりすぎないように。200字くらいで」
考えを広げる
- 「社内の勉強会の参加者を増やす方法を、費用がかからないものに限って10個出してください。それぞれ一言で理由も添えてください」
自分の文章を見直す
- 「次の文章を、初めて読む人に分かりやすいかという目線で見てください。分かりにくいところを3つまで挙げ、直し方を提案してください。文章そのものは書き換えないでください」
どの型にも共通しているのは、「何をしてほしいか」に加えて「何をしてほしくないか」も書いていることです。メモにないことを足さない、文章を勝手に書き換えない、といった線を引いておくと、期待とずれた答えが減ります。
返ってきた答えの直し方
一度で理想の答えが返ってくることは、あまりありません。返ってきた答えを見て、足りないところを伝えて直してもらいます。
- どこがよくて、どこを直したいのかを具体的に伝える。「もっとよくして」ではなく「2つ目の項目を、もっと具体的な例にして」
- 一度にたくさん直そうとせず、1〜2点ずつ頼む
- 何度直してもずれるときは、最初の頼み方に戻って、目的や前提を足して頼み直す
何度も直したやり取りの中に、うまくいった頼み方のこつが隠れています。うまくいった頼み方は、型として残しておくと、次から同じ手間をかけずに済みます。
チームで型を共有する
うまくいった頼み方は、チームで使える形にしておくと、使う人による答えの質のばらつきが小さくなります。共有する型には、次の4つを書いておくと使いやすくなります。
- どんな仕事に使う型か(例:定例会議のメモの整理)
- 頼み方の文章。人や場面によって変わるところは【 】で空けておく
- うまくいったときの答えの例
- 使うときの注意(例:取引先の名前は入れない、数字は必ず元の資料で確かめる)
最初は3つくらいの型から始め、使いながら直していきます。使われない型は、思い切って消します。
答えを確かめるときの注意
生成AIは、もっともらしい間違いを返すことがあります。とくに次のものは、そのまま使わずに確かめます。
- 数字、日付、固有名詞
- 法律や制度、規則に関わること
- 誰かの発言や、出典として挙げられたもの
AIに「この答えの中で、確かめたほうがよいところはどこですか」と聞き返すのも一つの方法です。ただし、その答えもAIのものなので、最後は元の資料で確かめます。
確かめられないものは使わない、と決めておくと迷いません。社外に出す文章は、必ず人が読んでから出します。
よくあるつまずき
短く頼みすぎる
いちばん多いつまずきです。短い頼み方では、AIは一般的な答えしか返せません。目的・前提・形・例の4つを思い出して、足りないものを書き足します。
一度に何でも頼む
「調べて、まとめて、資料にして、メールも書いて」と一度に頼むと、どれも中途半端になりがちです。仕事を分けて、ひとつずつ頼みます。複数の作業をまとめて任せるAIの使い方は、AIエージェントとは?仕事の任せ方がどう変わるかで紹介しています。
うまくいった頼み方を残さない
毎回ゼロから頼み方を考えると、時間がかかるうえ、人によって答えの質がばらつきます。チームでよく使う型をまとめて、誰でも使える場所に置いておきます。
まとめ:プロンプトは、人に頼むときと同じ
- 目的・前提・形・例の4つを伝える
- してほしいことに加えて、してほしくないことも書く
- よく使う仕事は、頼み方を型にして残す
- 返ってきた答えは、具体的に1〜2点ずつ直してもらう
- 数字・固有名詞・制度に関わることは、必ず確かめる
プロンプトの上手な人は、人に仕事を頼むのも上手な人です。何のために、誰に向けて、どんな形で、を言葉にする習慣は、AIに頼むときにも、人に頼むときにも役立ちます。
おまかせPMは、社内に進める人がいないプロジェクトを、進める役割ごとお引き受けするサービスです。AIの活用を社内に広げたいけれど、進める人がいないときは、何から手をつけるかの整理から、ご相談ください。
プロンプトの上手な人は、人に仕事を頼むのも上手な人です。