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スクラムとは?少人数のチームで取り入れるときの基本
スクラムを取り入れたいけれど、役割や決まりが多くて、どこから始めればよいのか分からない。少人数のチームでも使えるのだろうか。スクラムの基本の仕組みと、小さなチームで無理なく始める進め方、形だけにしないためのコツを整理します。

スクラムとは、チームで仕事を進めるための枠組みの一つです。仕事を短い期間に区切り、その期間ごとに計画を立て、作り、見せて、振り返る。このくり返しの中で、作るものとチームの進め方の両方を少しずつよくしていきます。
スクラムは、アジャイルと呼ばれる進め方を実践するための代表的な方法として知られています。ケン・シュエイバーとジェフ・サザーランドがまとめた「スクラムガイド」という短い文書に、その考え方と決まりが書かれています。この記事では、スクラムの基本の仕組みを整理したうえで、少人数のチームで取り入れるときの進め方、判断の基準、形だけにしないためのコツを紹介します。アジャイルそのものの考え方はアジャイルとは?ウォーターフォールとの違いと選び方で紹介しています。
スクラムの基本の仕組み
スクラムは、3つの役割、いくつかの決まった場、作るものを管理するための一覧でできています。
3つの役割
- プロダクトオーナー:何を作るか、どの順番で作るかに責任を持つ。作るものの価値を最大にする人
- スクラムマスター:チームがスクラムをうまく使えるように支える。進めるうえでの障害を取り除く手助けをする
- 開発者:実際に作る人たち。期間ごとに、使える形のものを仕上げる
スクラムマスターは、チームに指示を出す管理者ではありません。チームが自分たちで考えて動けるように支える役割です。ここを取り違えると、スクラムの良さが失われます。
スプリントと4つの場
スクラムでは、仕事を「スプリント」と呼ばれる、長くても1か月の決まった期間に区切ります。スプリントの中では、次の場を持ちます。
- スプリントプランニング:スプリントの最初に、何を目指し、何をするかを決める
- デイリースクラム:毎日15分ほど、目標に向けて進んでいるかを確かめ、その日の動きを調整する
- スプリントレビュー:スプリントの終わりに、できたものを関係者に見せ、意見をもらって次に生かす
- スプリントレトロスペクティブ:チームの進め方を振り返り、次のスプリントでよくすることを決める
作るものの一覧
作りたいもの、やりたいことは、優先順位の順に並べた一覧で管理します。全体の一覧を「プロダクトバックログ」、そのスプリントでやると決めたものを「スプリントバックログ」と呼びます。プロダクトバックログの順番を決めるのは、プロダクトオーナーです。
スクラムが向いている仕事
スクラムは、何を作れば正解かが最初からは分からず、作りながら確かめていく仕事に向いています。新しいサービスや、社内の仕組みの改善など、使う人の反応を見て直していきたいものです。
反対に、やることが最初からはっきり決まっていて、途中で変わらない仕事では、スクラムの仕組みが手間になることもあります。また、チームの人数が多すぎると、毎日の確認や振り返りがうまく回りません。スクラムガイドでも、チームは小さく保つことがよいとされています。
カンバンとの選び方
同じように仕事を見える化する方法に、カンバンがあります。迷ったときは、次のように考えると選びやすくなります。
- まとまった期間ごとに区切って、計画と振り返りをしたい → スクラム
- 次々に入ってくる依頼を、流れるように片づけたい → カンバン
問い合わせ対応や保守のように、仕事が途切れずに入ってくるチームでは、期間で区切るよりカンバンのほうが合うことがあります。カンバンの使い方はカンバンとは?チームの仕事を見える化する方法で紹介しています。
少人数のチームで取り入れる進め方
スクラムをいきなり完全な形で始めようとすると、決まりの多さに疲れてしまいます。少人数のチームでは、次の順番で始めると無理がありません。
- スプリントの長さを決める:はじめは1週間か2週間が試しやすい。短いほど振り返りの回数が増え、慣れるのが早い
- やることの一覧をつくる:やりたいことを書き出し、大事な順に並べる。並べる人を一人決める
- 最初のプランニングを開く:このスプリントで何を目指すかを一文で決め、それに必要な仕事を一覧から選ぶ
- 毎日短く確かめる:昨日やったこと、今日やること、困っていることを、立ったままでもよいので短く話す
- 終わりに見せて、振り返る:できたものを関係者に見せ、そのあとチームだけで進め方を振り返る
少人数のチームでは、一人が複数の役割を兼ねることもあります。ただし、プロダクトオーナーとスクラムマスターを同じ人が兼ねると、「何を作るか」の判断と「進め方を支える」役割がぶつかりやすくなります。できれば、この2つは別の人が担うようにします。
プランニングで決めておくこと
スプリントの最初のプランニングがあいまいだと、そのスプリント全体がぼやけます。次の項目を決めてから始めると、途中で迷いにくくなります。
- スプリントの目標:このスプリントが終わったとき、何ができるようになっているか。一文で言えるようにする
- やる仕事:目標に必要な仕事を、一覧の上から選ぶ。チームが無理なく終えられる量にとどめる
- 終わったと言える基準:「作った」ではなく、確かめ終えて使える状態になったら終わり、のように決めておく
- 気になっていること:ほかの人の手を借りる必要がある仕事や、分からないことが残っている仕事
終わったと言える基準は、スクラムガイドでは「完成の定義」と呼ばれています。これが人によって違うと、「終わった」と報告された仕事が、実はまだ確かめられていない、ということが起きます。チームで一度そろえておくと、スプリントレビューで見せるものの質が安定します。
量を選ぶときは、最初の数回は少なめにします。何回かスプリントを回すと、チームがどれくらいの量を終えられるかの感覚がつかめてきます。
振り返りの進め方の例
スクラムの中で、いちばん効果が出やすく、いちばん省かれやすいのが振り返りです。1時間ほどの短い振り返りでも、次のような流れで進めると、話が具体的になります。
- よかったこと:このスプリントで、続けたいことは何か
- 困ったこと:うまくいかなかったこと、やりにくかったことは何か
- 次に試すこと:次のスプリントで変えてみることを一つか二つにしぼる
大事なのは、最後の「次に試すこと」を少なくしぼり、誰が何をするかまで決めることです。たくさん挙げても、次のスプリントで実行されなければ、振り返りはただの反省会になります。次の振り返りの最初に、前回決めたことを試せたかを確かめると、改善がつながっていきます。
場面の例:社内の仕組みづくりにスクラムを使う場合
たとえば、4人ほどのチームで、社内で使う申請の仕組みを新しくつくるとします。最初に全部の機能を決めて作ると、使い始めてから「こうではなかった」となるおそれがあります。
そこで、2週間のスプリントで区切ります。最初のスプリントでは、いちばん使われる申請の一つだけを、実際に使える形にします。スプリントレビューで、ふだん申請をしている人に触ってもらい、意見を聞きます。その意見をもとに、次のスプリントで直すことと、次に作る申請を決めます。
こうすると、早い段階から使う人の声が入り、作り終えてからの大きな手戻りが減ります。チームの進め方も、振り返りのたびに少しずつ整っていきます。
形だけにしないためのコツ
場を開くことが目的にならない
毎日の確認や振り返りを、決まりだから開くようになると、時間だけがかかる場になります。それぞれの場で何を決めるのかを、チームで確かめておきます。
毎日の確認を報告会にしない
デイリースクラムが、メンバーが上の人に進み具合を報告する場になると、困っていることが出てこなくなります。チームが自分たちで動きを調整するための場であることを忘れないようにします。
スプリントの途中で目標を変えすぎない
スプリントの途中で新しい依頼を次々に入れると、区切っている意味がなくなります。急ぎでないものは一覧に入れ、次のスプリントで判断します。
レビューに使う人を呼ばない
スプリントレビューを、チームの中だけで済ませてしまうと、作ったものが使う人の役に立つかが確かめられません。実際に使う人や、決める立場の人に参加してもらいます。
スクラムは、チームが自分で良くなるための枠組み
スクラムの決まりは、それ自体が目的ではありません。短い期間で作って確かめ、進め方を振り返ってよくしていく。このくり返しを続けるための支えです。最初から完ぺきに運用しようとせず、短いスプリントと振り返りから始めて、チームに合う形を探してみてください。
おまかせPMは、社内に進める人がいないプロジェクトを、進める役割ごとお引き受けするサービスです。チームに合う進め方の選び方から相談したいときは、どこから手をつけるかの整理から、ご相談ください。
スクラムの決まりは、それ自体が目的ではありません。