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PMの基本

AI時代のプロジェクトマネジメント。PMの仕事はどう変わるか

Be編集部

AIを使えば、議事録も資料もすぐにできる。では、PMの仕事はこれからどうなるのだろう。AIに任せてよい作業と、人にしかできない調整や判断を整理し、PMがAIを取り入れるときの進め方と注意点をまとめます。

生成AIが仕事の道具として身近になり、プロジェクトマネジメントの進め方にも変化が出てきました。議事録のまとめ、資料の下書き、タスクの洗い出しなど、これまでPMが時間をかけていた作業の一部は、AIに手伝ってもらえるようになっています。

では、PMの仕事はAIに置き換わっていくのでしょうか。結論から言えば、変わるのは作業の進め方で、PMが担う役割の中心は変わりません。むしろ、作業が速くなるぶん、人にしかできない調整や判断の比重が大きくなります。この記事では、AIに任せられる作業と、人に残る仕事を整理し、PMがAIを取り入れるときの進め方、判断の基準、よくある失敗を紹介します。

PMの仕事を2つに分けて考える

PMの仕事は、大きく次の2つに分けて考えると整理しやすくなります。PMの役割そのものはプロジェクトマネージャー(PM)の役割とは?仕事内容を場面で解説で紹介しています。

  • 情報を扱う作業:記録する、まとめる、整える、洗い出す、下書きをつくる
  • 人と向き合う仕事:目的をそろえる、関係者の利害を調整する、決める、任せる、責任を持つ

AIが得意なのは、主に前者です。後者は、相手との関係や、組織の事情、言葉にされていない思いを扱う仕事で、AIに任せることは難しい領域です。

AIに任せやすい作業

次のような作業は、AIに下書きや整理を手伝ってもらいやすいものです。

  • 会議の記録:話した内容を要点、決まったこと、次の行動に分けてまとめる
  • タスクの洗い出し:目的と成果物を伝えて、必要な作業の候補を出してもらう。WBSのたたき台になる
  • 資料の下書き:報告書、提案書、社内向けの案内などの最初の形をつくる
  • 文章の整え:長い連絡を短くする、相手に合わせて言い回しを変える
  • リスクの候補出し:計画を伝えて、起こりうる問題を挙げてもらう。見落としの確認に使う

どれも「たたき台をつくる」作業である点が共通しています。AIが出したものは、そのまま使うのではなく、PMが確かめて直すことが前提です。AIへの頼み方はプロンプトの書き方。AIに伝わる頼み方の基本で紹介しています。

人に残る仕事

目的をそろえる

プロジェクトの目的は、関係者それぞれの頭の中に少しずつ違う形であります。それを話し合いの中で一つにそろえるのは、人の仕事です。AIは目的の文章を整えることはできても、関係者が本当に納得しているかを確かめることはできません。

利害を調整する

部署ごとの事情、言いにくい不満、過去の経緯。プロジェクトを動かすうえで大事な情報の多くは、記録には残っていません。関係者と話し、それぞれの立場を理解したうえで落としどころを探るのは、人にしかできない調整です。

決めて、責任を持つ

AIはいくつもの案を出せますが、どれを選ぶかを決め、その結果に責任を持つのは人です。特に、情報が足りない中で決めなければならない場面や、誰かにとって不利になる判断では、決める人の顔が見えていることが関係者の納得につながります。

人に任せ、支える

メンバーの得意なこと、いまの負担、伸ばしたいこと。それを見ながら仕事を割り振り、困っているときに手を差し伸べるのもPMの仕事です。チームの状態は、日々の会話の中でしか分かりません。

AIを取り入れる進め方

PMの仕事にAIを取り入れるときは、いきなり全部に使おうとせず、次の順番で進めると無理がありません。

  1. 自分の一週間の作業を書き出す:何にどれくらい時間を使っているかを見る
  2. 情報を扱う作業に印をつける:記録、まとめ、下書き、洗い出しにあたるものを選ぶ
  3. 一つだけ試す:まずは会議の記録など、間違えても影響が小さく、確かめやすい作業から
  4. 確かめ方を決める:AIが出したものを、誰が、何と照らし合わせて確かめるか
  5. 空いた時間の使い道を決める:浮いた時間を、関係者との対話やメンバーとの1on1に回す

最後の手順が大事です。作業が速くなっても、空いた時間がまた別の作業で埋まってしまうと、PMの仕事の質は変わりません。AIで生まれた時間を、人と向き合う仕事に回すと決めておきます。

任せるかどうかの判断の基準

ある作業をAIに任せるかどうか迷ったら、次の問いで考えます。

  • 間違っていたときに、すぐに気づけるか
  • 間違っていたときの影響は、取り返しがつくか
  • 入力する情報に、社外に出してはいけないものが含まれていないか
  • 出てきたものを確かめる時間は、自分で一からやる時間より短いか

どれかに「いいえ」がつく作業は、AIに任せる前に、使い方を工夫するか、人が行うほうが安全です。特に、社外秘の情報や個人に関わる情報を入れてよいかは、会社のルールに従います。社内のルールづくりは生成AIを業務で使う。社内ルールと始め方で紹介しています。

頼み方と確かめ方のテンプレート

AIに作業を頼むときは、人に頼むときと同じように、目的と前提、ほしい形を伝えます。たとえば会議の記録のまとめなら、次のような項目を入れて頼むと、確かめやすい形で返ってきます。

  • 目的:この記録を誰が、何のために読むのか。参加していない上司が判断に使う、など
  • 前提:プロジェクトの名前と目的、参加者の役割
  • 形:決まったこと、決まっていないこと、次の行動(担当と期限)の3つに分ける
  • 守ってほしいこと:発言にないことは書かない。分からないところは「不明」と書く

返ってきたものは、次の点を確かめてから共有します。

  • 決まったこととして書かれている内容は、本当にその場で決まったか
  • 次の行動の担当と期限は、会議で合意したとおりか
  • 発言の意図が、言葉の表面だけで要約されて、ずれていないか
  • 共有する相手に見せてはいけない内容が入っていないか

特に注意したいのは、決まっていないことと決まったことの区別です。会議では「その方向で検討しましょう」のように、決めたとも決めていないとも取れる言い方がよく出てきます。こうした部分は、AIのまとめに任せず、PMが言葉を選び直します。

場面の例:定例会議の準備と振り返り

たとえば、毎週の定例会議の準備に、PMが毎回まとまった時間をかけているとします。進み具合を集め、議題を整え、終わったら記録をまとめて共有する、という流れです。

ここにAIを取り入れる場合、会議の記録のまとめと、次回の議題の下書きをAIに手伝ってもらいます。PMは、まとめに抜けや誤りがないか、決まったことの担当と期限が正しいかを確かめます。

そのうえで、浮いた時間を使って、会議で発言の少なかったメンバーに個別に声をかけます。会議の場では言いにくかった懸念が、そこで初めて出てくることもあります。記録はAIの助けで速くなり、PMは記録に残らない情報を拾いに行けるようになる。これが、AIを取り入れたPMの仕事の一つの形です。

よくある失敗

AIの出したものをそのまま使う

AIは、もっともらしいけれど事実と違う内容を出すことがあります。会議の記録で、決まっていないことが決まったように書かれていると、あとで大きな食い違いになります。必ず人が確かめます。

AIを理由に判断を避ける

「AIがこう言っているので」と判断の理由をAIに預けると、関係者は誰が決めたのか分からなくなります。AIの案を参考にしても、決めたのは自分だと説明できるようにしておきます。

作業だけが速くなる

記録や資料づくりが速くなっても、目的がそろっていない、関係者が納得していないといった問題は、そのまま残ります。作業の効率と、プロジェクトがうまく進むことは別の話です。

チームで使い方がばらばらになる

メンバーがそれぞれ違うやり方でAIを使うと、成果物の質や、確かめ方にばらつきが出ます。チームで使う作業と確かめ方は、そろえておきます。

確かめる時間を見込んでいない

AIを使えば作業がすぐ終わる、と考えて予定を組むと、確かめる時間が足りなくなります。下書きが速くできても、確かめて直す時間は残ります。予定には、その時間も含めておきます。

AI時代のPMに求められること

AIが作業を手伝ってくれるようになるほど、PMに求められるのは、目的をそろえ、人の間に立ち、決めて責任を持つことです。これはAIが登場する前から変わらない、PMの仕事の中心でもあります。AIの登場で変わるのは、その中心に使える時間が増えることです。まずは、自分の一週間の作業を書き出し、AIに任せられそうなものを一つ選んでみてください。仕事の進め方の変化についてはAIエージェントとは?仕事の任せ方がどう変わるかでも紹介しています。


おまかせPMは、社内に進める人がいないプロジェクトを、進める役割ごとお引き受けするサービスです。AIを取り入れた進め方の整理から相談したいときは、どこから手をつけるかの整理から、ご相談ください。

AIの登場で変わるのは、PMの仕事の中心に使える時間が増えることです。
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